2・28第24回大分・熊本経済同友会 交流懇談会
日時・会場
2025年(令和7年)2月28日(金)14:00~17:45
熊本ホテルキャッスル (熊本市中央区城東町4-2)
*終了しました(参加:99名/大分19・熊本80)
概要
1.テーマ「大分・熊本における今後の産業集積の展開について~中九州横断道路の早期竣工~」
2.次第
【交流懇談会】
(1)開会挨拶
(2)講演 「シリコンアイランド九州の再興~今後の産業集積について~」
講師 今村 徹 氏 熊本県産業振興顧問 NEC九州(株)元代表取締役社長
(3)現状報告 (熊本・大分間の道路や交通に関する報告)
(4)閉会挨拶
【懇親会】(16:00 ~ 17:45)

2025年2月28日、熊本市にて第24回大分・熊本経済同友会交流懇談会が開催された。
第1部の懇談会は、熊本経済同友会の笠原慶久代表幹事、当会の後藤富一郎代表幹事の開会挨拶から始まった。
基調講演は「シリコンアイランド九州の再興 ~今後の半導体産業集積について~」と題して、熊本県産業振興顧問の今村徹氏よりお話をいただいた。
九州の半導体産業は、1967年に三菱電機、1969年にNECが熊本に進出したことから始まり、1990年には世界一の規模となって「シリコンアイランド」と称された。しかしながら、その後の日米半導体摩擦で失速し、韓国・台湾勢に押されて世界シェアが低下した。
ただし、半導体の製造装置や素材の分野では、日本企業は今日でも健闘を続けている。
その一方でわが国は、半導体生産のビジネスモデルの変革に乗り遅れた。
半導体は当初、設計・前工程・後工程・テストを一貫して手がける垂直統合型の産業構造であったが、現在は水平分業型が主流になっている。
特に、前工程の受託製造に特化したファウンドリというビジネスモデルが急成長を遂げ、そのトップを走っているのが台湾のTSMCである。
TSMCが得意とする先端ロジック半導体は日本では生産されておらず、何らかの事情でその供給が停止すると、日本の産業全体がストップしてしまう。
このため、わが国はTSMCを誘致したが、国内で熊本が選ばれた理由には、①水が豊富、②半導体関連産業の集積、③パートナーであるソニーの拠点、④交通の要所、⑤台湾・東南アジアが近い、⑥再生可能エネルギーが豊富なことなどが挙げられる。
TSMCの九州進出を歴史的変革と呼ぶ人がいる。最先端半導体の国内自給を通じて、経済安全保障、産業競争力強化、工業出荷額急伸に貢献するからだ。
TSMCの進出表明以来、既存立地企業の追加投資や、新たな企業進出が進んでおり、九州が「新生シリコンアイランド」として再び大きく発展することが期待される。そのためには九州各県が協力してシナジー(相乗効果)を発揮すること、特に人材育成面での協力が重要であると講師は語った。
基調講演後に開催された現状報告ではまず、国土交通省熊本河川国道事務所の福井貴規所長より、中九州横断道路の整備状況について説明を受けた。
続けて当会の橋本均副代表幹事が、中九州横断道路を豊予海峡ルートに連結して第二国土軸を整備し、四国や大阪にまでつなげようと提案した。
さらに、熊本経済同友会の産業集積くまもと未来研究会からは、TSMC進出で地価や賃料が上昇して地元住民が購入しにくくなったことや、都市の渋滞レベルが世界第4位になったことなど、熊本都市圏が置かれた実態について報告がなされた。
続けて第2部の懇親会が、熊本経済同友会の野々口弘基副代表幹事の挨拶・乾杯により開宴した。両県のあいだで交流を深めた後、当会の川崎栄一代表幹事の閉会挨拶により幕を閉じたところである。
(文責:大分経済同友会事務局)